ボウリング 両手投げにトライしようと思っている方へ

ボウリング 両手投げをしてきた経験から

アドバイスの是非

前々回の記事に、「人の意見を聞きすぎてしまう」という俺の性分があると書いた。片手投げの時にアドバイスをくれて、その的確さ、シンプルさ、役立ち方から「師匠」とそれ以来呼んでいる年輩ボウラーさんがいる。こういう素晴らしいアドバイスもある。

そして、片手投げの時も、両手投げになってからも、見た目が実年齢より若く見えるがゆえか? 気弱そうに見えるからか? 俺はアドバイスをされることが多い。また、その中にはいわゆる「教え魔」といえる人に取りつかれてしまい、困ったこともある。

両手投げになってから、とにかく多くのアドバイスに「翻弄された」といえる。

「PBAの両手投げは、みんな”軸足に腕を寄せて投げている”」「豪快なスキップをしないと両手投げとはいえない」「すべての投げ方は同じ。ボールの下に手を入れるようにして投げるべき」「バックスウィングでボールを抱えこめ」などなど。

これらはどれも間違ってはいないのだろう。だが、俺の体格や体質には合わないものも少なくなかった。これらに翻弄されて、これらを試し、時間を費やし、無駄・出来ないとわかってこれらの方法を捨てる。その繰り返しを何度もしてきたのがここ数年だといえる。

特に体の固さに合わずに怪我をしたものも少なくない。

今もスキップはしているが、「豪快なスキップ」をしていたことで、左膝のお皿の下を「ジャンパー膝」という怪我をしてしまった。中高生が、ジャンプするような部活(バレーボール、バスケットボールなど)で負ってしまう怪我の代表例らしく、40代になってまで負ったことに整骨医も驚いていた。かなりの「重症」である。

こういうことで重傷を負うと、ドクターストップで3週間は投げることができなくなってしまう。そんなことを繰り返して、時間を費やし、無駄・出来ないとわかってこのやり方を捨てる。

歯車がうまくまわらないことへのイラだちもどんどんとつのっていった。

苦戦につぐ苦戦②

両手投げで「回転を多くすること」は容易にできる。カップリストができなかったり、体が固い俺でもある程度の高回転は簡単にできた。

だが、「球速を上げる」ということに関しては苦戦する人が多いと思う。ステップの勢いをボールに上手く伝えるのは当然のことだが、全体的な動きを素早くすることがボウリングの球速を上げる最短ルートだといえる。単純に言えば、助走を高速にし、腕や背筋によるスウィングを高速にすれば高速球を投げることができる。だが、当然動きを速くすれば、「乱れ」も多くなる。球速は上がったが、狙ったところに通すというボウリングの大前提といえるコントロールに正確さがなくなっては元も子もなくなってしまう。その辺りのバランス点を見つけるのは人それぞれのやり方があるといえるだろう。

よく筋肉には「速筋」と「遅筋」があるというが、それ以前に多くの人にとって、「筋肉があると、それを素早く動かすことが困難になる」。必要な筋肉がないとアスリートとしての効果的な動きはできない。だが、はげしい運動を繰り返すと「不必要な筋肉」までついてしまうものである。欲しいところだけというわけにはなかなか行かないものだ。たとえば、三角筋をつけるための運動をしたとしても、広背筋までついてしまう。その広背筋も役立つスポーツをしているのなら良いのだが、広背筋が邪魔になるスポーツだとしたら、それは「重く不要なもの」となってしまう。

スポーツ歴から40代も後半にしては筋肉量がある俺だが、「両手投げをする上では無駄になる筋肉まである」といえる。これが俺の場合、素早いスウィングを邪魔している。球速を上げるために、スウィングスピードも上げたいのだが、腕の振りは速くならない。当初は予想できなかった苦戦要素である。

ある女性の両手投げアマチュアボウラーが知りあいにいるが、その方は女性にしては、肩の筋肉がある。おそらくそれゆえだろうが、スウィングスピードが遅めで球速もその通りである。曰く「ボウリングしていたら、体重は変わらないのに体脂肪は減った」とのこと。本来それは健康的には良いことなのだが、両手投げにおいては良いこととはいえない状態になっている。

両手投げボウラー仲間に、「球速が以前より落ちた」という方がいるが、それも猛練習がゆえに、両手投げに必要がない筋肉までついてしまった可能性がある。

両手投げに必須なだけの柔らかい筋肉をつけるのは困難だ。それ以上のモノがあっては、引きずったままの自分へのブレーキを加えてしまうことになる。しなやかで両手投げにおける自然体の筋肉を持つベルモンテに迫るのは極めて困難なことだ。

苦戦につぐ苦戦①

前回の記事で、「若くない」と書いたが、ボウリングを本気ではじめた時にはすでに40歳を過ぎていたし、両手投げは40代も後半になってからのチャレンジだった。

カップリストができないことはすでに書いているが、スポーツ歴から齢の割には筋肉量があるために体が固いのと、加齢による体の固さが相まって、両手投げにおいては苦戦することになった。「苦戦」どころか「苦難の道」かもしれない。

40代になっている方に両手投げはオススメしない。加齢によるどうしようもない体の固さは不利にはたらくし、のちに書くが「足を重傷」してしまったこともある。

ベルモンテなどの両手投げでよくあるのが、(右投げの場合)右腕を曲げてボールを抱え込む動作だが、右腕の力こぶが有りすぎてこの抱え込みが上手くいかない。そのために如何にも抱え込むタイプの両手投げはあきらめることにした。

また、カップリストができないのならば、最初から肘を直角に曲げて手のひらを上に向けボールを持つようしてみた。体の前でこのようにして両手でボールを持つのならば、楽に持つことができる。だが、体の前からバックスウィングをすると、「左手が短い」ためにボールを支えることが上手くできない。またこの方法だと、抱え込みのバックスウィングが難しいため体に無理が生じてしまうのだ。

そこで、左手の短さをカバーするために、直角にした右腕の指先をピン方向に向けて構えてみた。これは上手くいったのだが、筋肉量がある人にとって、「肘を曲げた状態で静止する」というのは困難である。ちなみに、女性がよくやっている「曲げた肘にバッグのヒモを通して持つスタイル」を多くの男性は長時間できない。ヘタすると「筋断裂」をおこしてしまう。筋肉量がある人ほど困難であり、俺は「右腕の力こぶを肉離れ」してしまった。1ゲームで多ければ20回ほど静止する際の負担は大きかった。

ケガをすると練習ができなくなる。上達が遅れ、焦慮にかられることになる。

I have My Way・・・?・・・??・・・

いきなり「身体的欠点」を抱えることがわかった俺は、なにかしらのヒントを得るために、両手投げプロボウラーAさん と 両手投げを教えることができるプロボウラーBさんのレッスンを受けることにした。

その際に、「カップリストができないこと」「左手が短いこと」を告げ、俺の投げ方を見たプロは『☆さんだけの両手投げを目指しましょう』という方針を決めてをくれた。

レッスンを受けていく過程で、カップリストができないともう1つ欠点があることがわかった。それは「極端な縦回転」しかできないということ。のちにサイドローテーションの入れ方を会得するのだが、このときはアクシスチルトがわずか数度しかないおかしな特徴の球しか投げることができなかった。横回転を入れようとすると、ボールがファウルライン上に落ちてしまう率が高くなるのだ。

オイルによってはほとんどストレートになってしまうのだが、プロAさん曰く、「手首をとにかく柔らかくして、ボールを撫で上げることで縦だけでも良いから回転を増しましょう。回転があればピンも飛ぶし、手のひらで押せば球威も出ます」とのこと。

またプロBさん曰く、「柔らかくした手首を解除するタイミングを練習を重ねて掴むことです」とのこと。

入射角十分にポケットを突いていく球筋ではなかったが、ストライク連発、200upは多く出していたし、独特のテンピンメイク方法も相まって、どんどんアベレージも上がっていった。

ちなみに、この頃は「スキップはしていない」。いらないと思ったからだ。

今思い返してみれば、この両プロの教えは正しく、このやり方を練習して極めて行くべきだったと思う。だが、俺の性分に「人の意見を聞きすぎてしまう」というのがある。今までの人生において、これが良い方向に導かれたこともあった。だが、両手投げに関しては、俺を大いに迷走させる結果となってしまった。

若くない焦りゆえ、「人の意見」から上達の近道をみつけたかったというのもあった。

 

両手投げには向き・不向きがある

多くの両手投げボウラーが、「片手投げ」から転向をした人だと思う。目指すは、ジェイソン・ベルモンテやオスク・パレルマのようなPBA両手投げトップボウラーのような「高速・高回転・鋭い曲がり」でのストライク量産、アベレージ増大だろう。

だが、俺は違う。

不慮の事故で負った背中の怪我の影響で片手投げが困難になったのだ。片手時代の末期のアベレージは「208点」だった。200に乗ったアベレージを飛び込み台にして、これからどんどんと外の公式戦に飛び出していこうと思った時に、眼前が真っ暗になるような怪我を負ったのだが、再度「飛び込み台」に乗るためには「両手投げに転向する」しか方法がなかったといえる。2018年6月のことである。

投げ方を変えてみて、自分の体格が「両手投げに向いていない」ということに衝撃を受けた。当然、参考にしたのはPBAの高速・高回転ボウラーだが、それをするには以下が問題になった。

1.右腕に比べて「左腕が短い」。左腕でボールを支え、狙い通りにトレースする際に不利になる。
2.カップリストができない。ボウリング以前にもアスリートとしていろいろなスポーツをしてきたが、付いた筋肉の影響でカップリストがやりにくい体質になってしまっている。無理にしたところ、腱鞘炎になりかけた。
3.上記2つの要因から、リリースによっては「ボールを落とし気味」になってしまう。実際、両手投げに転向した当初は、何度かファウルライン上にボールを落としてしまった。ちなみに「ファウルラインは意外と固い」もので、ファウルラインとボールが欠けてしまった。

動画サイトで両手投げをいろいろ見ると、同じ投げ方の人はいない。また片手の個々人の差異よりも大きな違いが各両手投げボウラーにはあるようだ。

そして、俺も「PBA選手を参考にした両手投げはできない」という結論がすぐに出てしまった。つまり、俺は俺だけの両手投げを試行錯誤しながら探さなければならないということだ。

また、両手投げを練習していく過程で、上記以上に「両手投げには向き不向きの体質や体格がある」ということを思い知ることになる。それに関しては、順を追って書いていこうと思っている。